初めての電子書籍のつくりかた

 2013年9月末、10月末にAmazonのKindleダイレクトパブリシングサービス(以下KDP)を使って電子書籍をリリースしました。出版時にはあちこちのサイトを参照させていただいたので、この時点での作業についてメモを残しておきたいと思います。多少の試行錯誤はありましたが、電子書籍出版についての作業はそんなに難しくはなかったと思います(先人たちのトライ&エラーのおかげですね……)。特にKindleダイレクトパブリッシングで電子書籍を出版するときの注意点まとめ - Six Apart ブログは参考になりました。ここのおかげで出版できたといっても過言ではありません。ありがとうございました。

 さて、電子書籍出版のざっくりとした流れは下記の通り。この順でそれぞれ説明していきたいと思います。

  1. KDPへ登録
  2. 米国での源泉徴収税の免除手続き
  3. 原稿作成
  4. 表紙画像作成
  5. でんでんコンバーターでePubファイルを作成
  6. KDPで出版手続き

 1. KDPへ登録

 この作業自体は別に面倒でもなんでもありません。普通にショッピングサイトなどで利用登録作業とあまり変わりませんが、一応順を追って解説します。

(1) Amazonの「Kindleダイレクト・パブリッシング」のページにアクセスします。画面右上に「Amazonアカウントを利用してサインインする」の「サインイン」ボタンを押します。

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 (2)利用規約に同意するボタンを押します。

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 (3)画面右上の「アカウント情報が不完全です」の枠の中の「今すぐ更新」をクリック。

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 (4)住所氏名などの必要事項を記入します。会社・出版社情報とありますが、個人の方なら自宅住所と氏名で問題ないかと思います。なおペンネームなどは後ほど出版作業の時に記入しますので、ここの情報は実名で登録します。

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※ここの画面に「税に関する情報」の登録ボタンがありますが、ここは「2. 米国での源泉徴収税の免除手続き」で説明しますので、いったん飛ばします。

 (5) 書籍売上のロイヤリティが入金されますので、銀行口座を登録します。「銀行口座を登録する」のリンクをクリック。

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「銀行の所在地はどこですか?」の質問で「日本」を選択してOKボタンを押すと次の画面が出てきますので、必要事項を記入します。

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みずほ銀行や三井住友銀行ジャパンネット銀行楽天銀行セブン銀行などどこの銀行でもOKです。

ただし、日本のほとんどの銀行でAmazonから入金される時に手数料がかなり引かれると聞いています(サポートページ の情報によるとかなり高額ですね)。新生銀行を使えばその手数料がかからないそうなので、手数料を引かれたくない方は新生銀行の口座を用意しておくと良いかと思います。後から変更もできますので、とりあえず手元にある口座で登録しておいて、後から新生銀行に切り替えることも可能です。

 住所、氏名、銀行口座などすべて記入したら、最後に「アカウント」画面の一番右下の「保存」ボタンを押して完了です。


2. 米国での源泉徴収税の免除手続き

 米国での源泉徴収免除手続きをしないとアメリカで30%の税金が引かれてしまうので、面倒ですがこの手続はやっておいたほうがいいかと思います。英語ができない私にはこの作業がちょっと厄介でした。やらなくても電子書籍は出版できますので、飛ばして次の3番に進んでいただいても問題ありません。

 ちょっと長くなってしまったので、この項目は別記事にまとめました。次のエントリーをご参照下さい。


3. 原稿作成

 書籍の原稿を書きます。この時点ではワードでもテキストエディタでも使いやすいものを使って書いていきます。(まあ、ここの作業が一番大変ですよね……)


4. 表紙画像作成

 表紙画像のガイドラインに沿って画像ファイルを作ります。色々書いてありますが、だいたい下記の点を抑えておけば良いかなと思います。

  • 長辺が最低1000ピクセル(長辺が2500ピクセルの表紙画像が推奨) 
  • 理想的な縦横比は1.6 
  • ファイル形式はJPEGまたはTIFF
  • 白地または非常に薄い背景色の表紙画像は、背景に埋もれて見えにくくなる場合があります。幅の狭い(3~4ピクセル)ミディアムグレイの枠線を追加することにより、カバーの境界が明確になります。

 写真などを使うなら長辺2500ピクセル以上にしてもいいかもしれませんが、私は簡単なイラストを使いましたので、サイズを軽くするために「1200×1600」サイズで作りました。iPadくらいの大きさで見るならこのサイズで特に問題なさそうです。ダウンロードするときに通信量が少なくなるよう、できるだけ軽めに作った方がいいかなと思います。
 あと気をつけるとしたら、Amazonの画面上ではサムネイルで表示されますので、長辺160ピクセルになった時に表紙に何が書いてあるかわかるようにしたほうがいいかなと思います。(デザインについては私も素人なので、この程度で……)


5. でんでんコンバーターでePubファイルを作成

  KDPヘルプの「サポートされているファイル形式」によると、電子書籍の原稿はWORD、HTML、MOBIなど様々なファイル形式でアップロードできるようです。ただ経験者のサイトを見て回るとWORDは表示崩れなどが多くあまり適さないというコメントを見かけましたので、多くの方がおすすめしていたでんでんコンバーターを使うことにしました。

 「電書ちゃんのでんでんコンバーター」はテキストファイルを電子書籍出版に適したePubというファイル形式に変換してくれるサービスです。段落や見出し、改ページを入れる場所に「##」「**」「===」などのマークを入れるだけでそのように変換してくれます(はてなダイアリーを使ったことのある方なら馴染みのある記法だと思います)。さらに見出しの項目を拾って自動的に目次も生成してくれるという超便利サービス。とてもお世話になりました。感謝!

 テキストで書いた原稿に、これらのマークを入れてみます。実際の原稿がこんな感じでした。

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  ここでは「===」の改ページ、「###」の見出し、「---」の水平線、「**〜**」の強調、を使っています。他には文中からリンクを貼った程度でしょうか。これを「テキスト形式」で保存します。そしてでんでんコンバーターのページでePubに変換し、iPadKindleアプリで実際に出版された物がこちらです。

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 使ってる環境によって見え方が異なりますし、Kindleをカスタマイズして文字の大きさや書体を変えてる方も多いでしょうから、あまり見た目にこだわらずシンプルに記述しました。最初は「書籍」らしく縦書で、とも思いましたが、縦書にすると二桁以上の数字や英単語が読みづらくなったり、なにより私の書籍では「じえ(‘j’)/」の顔文字が出てくるため、これが縦書になるのはなあ、と思って横書きにしました。縦書にするとレイアウトでいろいろ引っかかるところも出てくるかと思いますが、そこは Six Apart ブログなど他のサイトを参考にしていただければと……。

 できたePubファイルの見た目は「Kindle Previewer」のアプリを使って確認することができます。いちいちアプリをダウンロードして開いて確認、の作業が面倒であれば、「でんでんコンバーター」でファイル変換をする時に「作成したEPUBをプレビューする」のボタンにチェックを入れれば、画面上で簡単にプレビューできます。ここで改ページや見出しなどの見た目をチェックして修正していきます。これでePubファイルができればもうあとは出版するだけです。


6. KDPで出版手続き

 無事にePubファイルが出来上がったらあとは最後の出版作業です。まずはKDPのページにサインインします。

 

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この「本棚」の画面で「新しいタイトルを追加」ボタンをクリックします。

 

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  • 「KDPセレクトに登録する」かどうかは任意ですが、価格を250円未満にするならチェックはしません。(価格設定については悩むところですがここではいったん置いて先に進みます)
  • 本のタイトル、ふりがな、ローマ字を記入します。ローマ字と書いてありますが文中に英単語が含まれるなら英単語で書きましょう。(例:「あまちゃんデータブック」→ローマ字「Amachan Data Book」)
  • 後で続編を出す予定なら「この本はシリーズ中の一冊です」のチェックを入れましょう。シリーズタイトルを記入する欄が増えます。

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  • 「版」はとりあえず初めて出す時は「1」を記入します。(後で改訂した時に「2」「3」と修正していきます。
  • 「出版社」は個人出版なら記入してもしなくても。記入するときは適当な出版社名をでっちあげて記入します。
  • 「内容紹介」はAmazonの商品ページに出てくる説明文です。慎重に記入しましょう。
  • 「著者等を追加」ボタンを押すと次の画面が出てきます。 

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 ここで著者の名前を記入します。複数登録もできます。

  • 「言語」は日本語、「発売日」は発売予定日を選択。「ISBN」は個人出版なら空欄のままにしておきます。「参照番号」は空欄のままで問題ありません。「18禁ですか」の質問には内容に応じて「はい」「いいえ」を選択します。

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  • ページめくりの方向は縦書か横書かを選択します。
  • 「出版する権利を確認してください」の質問でパブリックドメインかどうかと聞かれますが、自分で書いたオリジナルの作品なら「これはパブリックドメインの作品ではなく、私は必要な出版する権利を保有しています」を選択します。
  • 書いた書籍があてはまるカテゴリーを登録します。
  • 検索キーワードは「,(半角コンマ)」で区切って登録します。
  • 「表紙のアップロードまたは作成」で、「画像を参照」ボタンを押して表紙画像ファイルをアップロードします。
  • デジタル著作権管理のオプションを選択、はどちらでも良いかと思います、「詳細」の説明を確認し、どちらか好きな方を選んで下さい。
  • 「本のコンテンツファイル」で「参照」ボタンを押し、でんでんコンバーターで作成したePubファイルを登録します。するとプレビューボタンが出てきますので、ここで内容を確認します。

これで最後に画面左下の「保存して続行」ボタンを押します。

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  • 「出版地域を確認して下さい」、これは特に理由がなければ「全世界の権利」で問題ないかと思います。
  • 「ロイヤリティの選択」をします。KDPセレクトを選択せず250円未満の価格にした場合は「35%のロイヤリティ」一択です。KDPセレクトを選択して250円以上にした場合は「70%のロイヤリティ」が選択できますが、画像が多いなどデータ量の多い書籍は配信コストもかかってきます(価格設定についてはいろいろググって他サイトも参照してみてください)。
  • 各国での販売価格を記入します。日本語書籍で日本での販売を想定してるなら「Amazon.co.jp」のところだけ慎重に設定して、あとはUSの価格に合わせて設定します。
  • 「9. Kindle MatchBook」「10. Kindle本のレンタル」は詳細情報を確認の上自由に設定してください。
  • 最後に画面下のチェックボックスにチェックを入れ、「保存して出版」ボタンを押します。これで出版手続きは完了です。

 

 この後、登録した電子書籍がAmazon側で審査され、出版されます。日本語書籍は登録から出版まで「48時間かかる」というように表示されますが、過去2冊ともだいたい2〜3時間程度で出版されてたと思います。平日昼間でタイミングが良かったのか、びっくりするくらい審査が早かったですね。

 KDPのヘルプは日本語が少しかたくてわかりづらいところも多いので、あちこちの個人ブログなどを参照させてもらいました。 KDPの仕様なども少しずつ変わってるようですので、少しするとこの記事も役に立たなくなるかもしれませんが、少しでも皆さんのお役に立てればいいなと思います。実際に作業するとところどころ引っかかる部分もあるでしょうが、こんな感じで「意外に簡単」に電子書籍は出版できます。Amazonの商品棚に自分の書いた本が並ぶというのはちょっと嬉しいですよね。興味がある方は、ぜひ挑戦してみてください。

 


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